「大量広告事務所による債務整理二次被害対策全国会議」
設 立 趣 旨


                  2024年3月1日

弁護士・司法書士等による債務整理は、本来、多重債務者の生活再建のために行われるべきものである。ところが、このところ、インターネットなどを広告媒体として大量広告をし、多重債務者の集客を図る弁護士や司法書士によって、次に述べるとおり、不適切な債務整理が行われ、看過しがたい二次被害が発生している。彼らは、たとえば「国が認めた借金救済制度」などと称して、債務者に対し過度な期待を抱かせたり、誤解を生じさせることにより、債務整理の委任を誘引しようとしている。


このような事務所では、弁護士や司法書士が、あらかじめ債務者と一度も面談しないまま、債務整理事件を受任していることがある。また、一応は面談がされていても、それは形式的なものにとどまり、十分な事情聴取、意向確認、説明が行われていないため、債務者の収入、資産その他の生活の状況に見合わない任意整理が選択されていることもある。ヤミ金融事案について、本来は何らの支払義務もないはずであるのに、元本和解など、金銭を支払う形で和解をしていることもある。


弁護士報酬、司法書士報酬の額が約定残高を基準に算定されるなどし、結果として、通常(例えば、弁護士会の法律相談センターを通じて委任した場合の基準額)よりも、かなり高額な費用が徴収されていることもある。任意整理で長期分割の和解をすることにより、相当高額になる弁済代行手数料が十分な説明もなく徴収されていることもある。法テラスの利用が相当と考えられる事案でも法テラスの利用をせず、高額な費用の支払いを約束させられることもある。


債務者が弁護士・司法書士に支払う金額の内訳について、それは弁護士報酬・司法書士報酬なのか、債権者への返済原資なのか、通信費その他の実費に充てられるのか、明確に区別されていないこともある。しかも、その支払を滞ると、直ちに辞任されてしまい、債務者は、新たに別の弁護士・司法書士を選任した上で、別途、債務整理の費用の支払をしなければならない、ということもある。


このようなことは、いずれも弁護士・司法書士による債務整理の二次被害である、といわざるを得ない。多重債務者の救済のために、相談を受け、受任する役割を担うべき法律専門家が、多重債務者の状況をさらに悪化させてしまう、というような事態を放置することはできない。


当会議は、これらの大量広告事務所による債務整理の二次被害をなくすために、設立されたものである。この目的を実現するために、当会議では、今後、相談活動、意見の表明、注意喚起その他の情報発信、大量広告事務所の弁護士・司法書士による不適切な債務整理についての責任追及などを行う。


以 上